医療AIのLindus Health、臨床試験設計のための安全で信頼性の高いAI開発でARIAから資金調達

迅速かつ信頼性の高い臨床試験を提供する「アンチCRO」のスタートアップ企業であるLindus Healthは、英国政府の研究開発専門機関ARIA（Advanced Research and Invention Agency）から資金を獲得したことを発表しました。この資金は、安全かつ信頼できるAIを用いて臨床試験設計を革新するために使われます。具体的には、オックスフォード大学のコンピューターサイエンス学部に所属するNobuko Yoshida教授の研究グループと共同で、「安全かつ信頼性の高いAIを活用した臨床試験設計の変革」をテーマとしたプロジェクトを進めていきます。

医療分野のように安全性が極めて重要な領域では、AIシステムの信頼性が非常に重要です。現状のAI技術は高性能ですが、誤認識やバイアスに基づく誤った意思決定が発生する可能性があり、これらが致命的な結果を招くリスクがあります。ARIAの「Safeguarded AI」プログラムは、このようなリスクを最小限に抑え、航空や原子力産業と同水準の数学的保証に基づくAIシステムを構築し、医療分野の革新を促すことを目的としています。Lindus Healthは、このプロジェクトを通じて、臨床試験設計の現場で断片的かつ非効率なプロセスによるエラーを排除し、過去のデータを有効活用するための革新的なAI支援システムを開発します。このAIシステムは、数学的に証明された安全基準を満たすことで、臨床試験の設計プロセスにおいて最適な判断を支援する仕組みを提供します。これにより、試験準備時間の短縮、コスト削減、精度の向上を実現し、結果的に新薬開発のスピードを加速させ、臨床研究者がAIツールを安心して採用できるよう促すことを目指します。

Lindus Healthの製品責任者であるNijat Hasanli氏は、「臨床試験設計の不備は、試験の失敗や科学的なイノベーションの遅延といった深刻な結果をもたらします。ARIAとの協力により、これらのリスクを排除し、臨床試験を確実に成功へと導くことが可能になります」と述べています。また、ARIAのプログラムディレクターであるDavid Dalrymple氏は、「AIの安全性が証明されない限り、革新的なテクノロジーの活用が進まない状況があります。私たちは、定量的な安全保証を備えたAIを開発することで、英国経済に大きな価値をもたらすことを目標としています」とコメントしました。

Lindus HealthはこれまでにもAI活用の臨床研究において先駆的な役割を果たしており、歴史的データから臨床試験の結果を予測したり、試験プロトコルを迅速に作成するAI技術でNature誌にも取り上げられています。さらに、FDA向けの標準化テンプレートを開発するためにClinical Data Interchange Standards Consortium（CDISC）とも協力しています。同社の取り組みは、Pinnacle Healthcare AwardsやSifted 100の英国で最も急成長しているスタートアップとして評価されています。

Lindus Healthについて
Lindus Healthは、従来のCRO（臨床試験受託機関）とは一線を画し、迅速で信頼性の高い臨床試験の実施を可能にするスタートアップ企業です。同社は成果報酬型の明確な価格体系、世界トップクラスの臨床運営チーム、独自のソフトウェアプラットフォーム、そして4,000万件以上の電子健康記録（EHR）へのアクセスを通じて、臨床試験をスピーディーかつ効率的に実施します。これまで米国、英国、ヨーロッパで糖尿病、喘息、社会不安症、うつ病、高血圧、不眠症など幅広い分野の臨床試験を手掛けてきました。Peter Thiel、Balderton、Creandum、Firstminute Capital、Seedcampなどから総額8,000万ドル以上の資金調達を受けています。