Startup Portfolio
BioTechのOuro Medicines、自己免疫疾患向けの治療を目指し新たに設立 1億2000万ドルの資金調達を実施
Ouro Medicinesは、慢性的な免疫介在性疾患を抱える患者向けに免疫リセット療法を開発するバイオテクノロジー企業として、1億2000万ドルの資金調達を完了し、正式に事業を開始しました。同社はMonograph CapitalとGSK plcの共同パートナーシップによって設立され、シリーズAラウンドではTPG Life Sciences Innovations、NEA、Norwest Venture Partnersが共同リード投資家を務めたほか、Monograph Capital、GSK、UPMC Enterprises、Boyu/Zoo Capital、LongRiver Investmentsなども参加しています。
慢性の免疫介在性疾患には、多様な免疫細胞が疾患発症に深く関わる病態が含まれます。その中でもB細胞が病因として注目されている領域をOuro Medicinesはまず最優先のターゲットとし、既存の治療は長期的な免疫抑制療法に頼るものが多く、副作用や効果面で課題が残る現状を改善したい考えです。T細胞エンゲージャ(TCE)抗体は、特定の病原性細胞を高効率で除去できる「オフ・ザ・シェルフ」治療法として注目されており、Ouroはこの技術を用いて病的なB細胞集団をリセットすることで、長期にわたる免疫抑制なしに再燃を防ぐ新しい治療コンセプトを打ち立てようとしています。
Ouro MedicinesのCEOであるJaideep Dudani氏は「従来の標準治療では十分な効果が得られない慢性免疫疾患患者が多数存在します。TCEによる免疫リセットによって、長期の免疫抑制を回避しながら持続的な寛解を実現できる可能性があります」と述べています。同社のリード製品はBCMAを標的とした二重特異性T細胞エンゲージャのOM336であり、これはKeymed Biosciencesからライセンス取得したもので、BCMAが高発現するB細胞サブタイプを強力かつ選択的に除去する狙いがあります。Keymedは現在、中国国内で同薬(CM336)の多発性骨髄腫に対する第2相拡大試験を進行中であり、Ouroは北米やその他地域を対象に2025年中の第1相試験開始を目指しています。BCMA標的のTCEは、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群、関節リウマチなど、B細胞が病因となる自己免疫疾患への有効性を示すオフラベル使用実績も報告されています。
今回のシリーズAラウンドを共同リードしたTPG Life Sciences InnovationsのShinichiro Fuse博士は、「Ouroは免疫医学や創薬開発に深い知見を持つチームとアドバイザー陣を擁しており、重度の未充足医療需要がある患者層に向け免疫リセット療法の可能性を追求する姿勢が際立っています」とコメントしています。OuroはB細胞の生物学的特性をさらに解明し、従来型治療ではカバーしきれないB細胞サブセットを標的とするパイプラインの拡充も進める考えです。
同社はまた、OM336の第2相試験や関連データの蓄積を通じ、これらの学びを今後の創薬プログラムやTCE技術の改良に活用していきたいとしています。パートナー企業のMonograph Capitalのパートナーであり、Ouroの取締役でもあるTim Funnell氏は「OM336から得られる臨床知見とOuroが有する創薬基盤の相乗効果によって、免疫リセット療法のリーダーを目指す」と述べています。Ouroの経営陣には、自己免疫領域でのエグゼクティブ経験を持つ医科学担当役員のNeely Mozaffarian博士や、開発担当役員Kevin Baker博士などが参画し、より広範な自己免疫疾患への治療アプローチを加速する体制を整えています。
Ouro Medicinesについて
Ouro Medicinesは、免疫介在性疾患を抱える患者のために、T細胞エンゲージャを活用した免疫リセット療法を開発するバイオテクノロジースタートアップです。2025年にMonograph CapitalとGSKが共同で創業し、TPG、NEA、Norwestなど有力投資家の支援を受けています。B細胞を標的とする最先端のバイオロジーと創薬プラットフォームを組み合わせることで、従来の長期免疫抑制とは異なる持続的寛解の可能性を追求し、数多くの自己免疫疾患患者に革新的な治療を提供することを目指しています。
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