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次世代がん治療のTagworks Pharmaceuticals、抗体薬物複合体「TGW101」の第1相臨床試験を開始
がんの精密医療を推進するオランダのバイオテック企業Tagworks Pharmaceuticals(以下、Tagworks)は、FDA(米国食品医薬品局)が抗体薬物複合体(ADC)である「TGW101」の臨床試験開始申請(IND)を承認したことを発表しました。また、臨床開発をリードするため、Keith Orford医師(MD, PhD)を最高医療責任者(CMO)として迎えました。
TGW101は、固形がん細胞表面に発現するTAG-72タンパク質を標的とする初のADC薬剤です。MMAE(モノメチルアウリスタチンE)と呼ばれる細胞毒を搭載しており、「Click-to-Release」と呼ばれる独自技術を用いて腫瘍組織内で薬剤を選択的に放出します。この技術は、従来ADC薬剤では治療困難だった、細胞内取り込みをしないタイプの標的に対しても効果的に作用することを可能にしています。第1相臨床試試験は、進行固形がん患者を対象に米国内の複数施設で実施されます。主にTGW101の安全性および忍容性を評価し、推奨用量を決定することを目的としており、最大で50名の患者が参加する予定です。
Tagworksの共同創業者兼最高科学責任者(CSO)のMarc Robillard氏は「TAG-72は治療の必要性が高い多くのがんで過剰発現していますが、細胞内に取り込まれないために従来型のADC薬剤では効果を発揮できませんでした。我々の『Click-to-Release』技術を用いたTGW101は、細胞内取り込みを必要とせず、腫瘍組織内で選択的に薬剤を放出することで、優れた効果と良好な安全性を示しています。今回の臨床試験開始は、Tagworksにとっても画期的な一歩となります」と述べています。臨床試験の主任研究者であるNEXT Oncology San AntonioのCEO兼創設者Anthony Tolcher医師は、「TGW101は、既存のADC治療の限界を克服し、高い治療効果と安全性を期待できる新たな可能性を秘めています。高い医療ニーズを抱える進行固形がん患者への効果が楽しみです」とコメントしています。また、Tagworksは臨床開発体制をさらに強化するため、業界で豊富な経験を持つKeith Orford医師をCMOに迎えました。Orford医師は、Parabilis Medicines(旧Fog Pharma)やCalithera BiosciencesのCMOなど、複数のがん治療薬開発企業で指導的役割を務めた実績があります。
TagworksのCEOであるKen Mills氏は「Keithの専門的な知識と戦略的な洞察力、がん医療分野での豊富な経験は、臨床開発を本格化する当社にとって非常に心強いものです」と述べています。Orford医師は「画期的な『Click-to-Release』技術の可能性を引き出し、患者さんに安全で効果的な治療を届けるために尽力します」と意気込みを語りました。
Tagworks Pharmaceuticalsについて
Tagworks Pharmaceuticalsは、オランダを拠点とする臨床段階の精密がん治療企業です。独自の「Click-to-Release」技術を活用し、これまで治療が困難だった固形がん細胞の標的に対して効果的な薬剤を開発しています。現在、TAG-72を標的とした抗体薬物複合体(ADC)「TGW101」を筆頭に、ADCや放射性医薬品など複数の治療薬開発を進めています。
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