Startup Portfolio
スイス発で血圧モニタリングプラットフォーム開発する"Hilo"がSeries Bで$19Mを追加し累計で$119M超を調達
Hilo (旧称Aktiia)は、Dell Technologies創業者Michael Dellの投資会社であるDell Family Officeから新たな出資を受け、$19MのSeries B Extensionを完了し、累計で$119M超を調達しました。今回の調達は、2025年5月に完了した$42MのSeries Bに続くものです。資金調達と同時に社名もAktiiaからHiloへとリブランドされました。
スイスのHealthTechスタートアップで血圧モニタリングプラットフォーム開発するHiloは、「世界初の完全な血圧ヘルスシステム」と位置付けるHilo Coreを開発しています。従来のカフによる測定だけに依存するのではなく、手首装着型の光学センサー、FDA認可済みの接続型カフ、そしてモバイルプラットフォームを組み合わせることで、一日を通じた継続的な血圧インサイトを提供します。今回の資金調達はと同時に米国発売も発表されました。
Hiloによると、この技術は20年以上にわたる研究を基盤としており、8件の臨床試験で有効性が検証されています。また、すでに世界で20万人以上が利用しています。
Hiloを立ち上げる以前から、Hiloの創業者であるMattia BertschiとJosep Solàは約15年間にわたり、医療分野で最も古い課題の一つである「空気で膨らませるカフを使わずに継続的に血圧を測定する方法」の開発に取り組んでいました。
2人はSwiss Centre for Electronics and Microtechnology(CSEM)で30種類以上のアプローチを試し、最終的に手首から取得した信号を用いて血圧を推定できる光学技術を開発しました。そして2018年にスイス・NeuchâtelでAktiiaを創業し、その後Hiloへとリブランドされ、この研究成果の商業化を進めるとともに、1881年以来ほとんど変化していない血圧測定技術へ挑戦しています。
高血圧は依然として世界における心疾患や脳卒中の主要原因の一つですが、実際には定期健診や家庭での単発測定のみで評価されることが多くあります。このような断続的な測定では、睡眠、運動、ストレス、服薬、食事などによって一日の中で変化する血圧の状況を十分に把握することはできません。
HiloのOptical Blood Pressure Monitoring技術は、手首から取得したフォトプレチスモグラフィ(PPG)信号を利用して継続的に血圧を推定します。また、定期的なカフ測定によってシステムを再校正し、高い精度を維持しています。
単一の測定値を提供するのではなく、Hiloは1日あたり約30~35回の測定を実施し、夜間測定も含めたデータを取得します。これにより、利用者や医療従事者は単発の測定結果ではなく、長期的な心血管の変化を把握できるようになります。
「Hiloは血圧管理へのアプローチを根本から変えるものです。特に米国では成人の約半数が高血圧を抱えており、多くが未診断または十分な治療を受けていません。長期かつ実生活に基づくデータへ移行することで、患者と医療チームがより早く、より適切な判断を下せるようになり、心血管疾患管理そのものを変革できると考えています。」とHiloのCEOであるStefan Petzingerは述べています。
同社によると、3万人以上を対象とした実世界データの調査では、積極的に利用したユーザーは、利用頻度の低いユーザーと比較して、6カ月間で最大5倍大きな収縮期血圧の改善が確認されました。
この市場機会は一般消費者向けウェルネス用途にとどまりません。Grand View Researchによると、世界の血圧モニタリング機器市場は2025年に$4.19Bと評価され、2033年には$8.56Bへ拡大し、CAGR9.34%で成長すると予測されています。高血圧患者の増加と、コネクテッドモニタリング技術の普及が成長を後押ししています。
「Hiloは、高血圧という見過ごされがちな疾患を患者自身が理解し管理しやすくするという点で、臨床的にも非常に優れています。継続的かつ長期的なデータを提供することで、高血圧患者と医療従事者の双方が、生活習慣や治療方針が血圧へ与える影響をより正確に理解でき、より早く適切な介入が可能になります。」とDuke University心臓病学准教授でありHiloの医療アドバイザーを務めるDr Marat Fudimは述べています。
Hiloは、カフレス血圧モニタリング市場における競争が激化する中で市場参入しています。イスラエルの医療機器企業Biobeatは、FDA認可済みウェアラブル血圧モニターの米国展開を加速するため、2025年12月に$50MのSeries Bを調達しました。
米国のバイオセンシング企業Valencellは累計$35M超を調達しており、ウェアラブルメーカーとの提携を通じて、次世代カフレス血圧測定デバイス向けの光学センシング技術を開発し続けています。
歩数計測や心拍数モニタリングを超えて、血圧はデジタルヘルス分野における次の重要なフロンティアとなりつつあります。
HiloはFitbitがフィットネス市場で成し遂げた変革を血圧分野でも実現できるのでしょうか。
同社によると、今回の資金調達は米国展開、製品開発、人材採用に活用されます。同社が描く将来像は、血圧測定が「時々測るもの」ではなく「常時把握するもの」へ変わることです。
もしこのビジョンが実現すれば、単に空気で膨らませるカフを置き換えるだけではありません。医師と患者が長期にわたる心血管データへアクセスできるようになり、より早期の介入、個別化された治療、高血圧関連疾患の予防が可能になることこそが、本当の変革となるでしょう。
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