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2026/05/28

Startup Portfolio

Voice & Music GenAIのElevenLabs、曲中でジャンルを切り替え可能な新音楽生成モデル「Music v2」をリリース

ロンドン発の音声AI企業ElevenLabsは、新たな音楽生成モデル「Music v2」を発表しました。最大の特徴は、1つの楽曲の途中でジャンルを切り替えられる点で、ボーカルと作曲の双方の複雑さに対応するよう設計されています。同社が初代の音楽生成モデルをリリースしてから約10ヶ月ぶりのアップデートとなります。ElevenLabsによれば、Music v2はオペラからヘヴィメタルへ、そして再びオペラへといったジャンル間の遷移を曲の中で自然に行うことが可能です。また、コヒーレンス(一貫性)を保ったまま高速ラップを生成したり、楽曲に音楽以外のサウンドエフェクト(効果音)を加えたりすることもできます。アーティストは曲の一部分だけを選び、他のパートには影響を与えずにプロンプトで再生成することが可能となり、これまでのAI音楽生成にはなかった高い編集自由度を提供します。

 

加えて、短いクリップを生成するのではなく、イントロ、ヴァース、コーラスといったセクション単位で楽曲を構築し、それらをつなぎ合わせて1つの楽曲を作り上げるワークフローにも対応しています。多言語の歌詞、ボーカル、アレンジメントについても、従来モデルより安定したパフォーマンスを発揮するとしています。ここ数ヶ月、AI企業各社はプロフェッショナル品質の音楽生成モデル開発でしのぎを削っています。Googleは「Lyria 3 Pro」を、Stability AIは最長6分の楽曲を生成できる新音声モデルを、Sunoは「v5.5」をそれぞれ発表し、より長尺で複雑な楽曲生成への対応を競っています。Googleは開発者向けカンファレンス「Google I/O」において、自社の「Flow Music」ツールでカバー版作成、セクション単位の楽曲編集、ミュージックビデオ生成を簡単に行える機能も追加しました。

 

ElevenLabsが他社との差別化要素として強調しているのは、Music v2がライセンス取得済みのデータで学習され、商用利用が許諾されている点です。ユーザーは生成した楽曲を自由に利用できます。SunoやUdioといった他のAI音楽スタートアップが大手レーベルから著作権侵害訴訟を受けているなか、レーベルとのライセンス契約締結はこの分野で事業を継続するうえで重要な競争軸となっています。新モデルは、マーケティングおよびブランディングチーム向けの「ElevenCreative」ツールと、4月にローンチされたAI楽曲生成プラットフォーム「ElevenMusic」上で利用可能となっており、開発者向けの「ElevenAPI」での提供も近日中に予定されています。

 

ElevenLabsについて
ElevenLabsは、2022年に幼馴染であるMati StaniszewskiとPiotr Dabkowskiによって設立された、英国ロンドン本社のAI音声・オーディオ生成テクノロジー企業です。共同創業者のMati Staniszewski(現CEO)はPalantir Technologiesの元デプロイメント・ストラテジスト、Piotr DabkowskiはGoogleの元機械学習エンジニアという経歴を持ち、ポーランド出身の二人は、米国映画の不自然な吹き替えに不満を感じたことが起業のきっかけとなったと語っています。
同社はもともと、極めて人間に近いAIテキスト・トゥ・スピーチ(TTS)モデルの開発から事業を開始しましたが、その後、スピーチ・トゥ・テキスト(STT)、サウンドエフェクト、32言語対応のダビング(吹き替え)、音楽生成、そして対話型AIエージェントへと、音声・オーディオの基盤モデル領域全体に研究と製品ラインを拡大しています。エンタープライズ向けには、コンタクトセンター、コンバセーショナル・コマース、社内トレーニング、インバウンド営業など幅広い用途に対応した音声・対話AIプラットフォーム「ElevenAgents」を提供しています。
2026年2月にはSequoia Capitalがリードする5億ドルのシリーズDラウンドを完了し、企業評価額は110億ドルに到達しました。総調達額は7億8,100万ドル超に達し、投資家にはAndreessen Horowitz、Iconiq、Lightspeed Venture Partners、Bond、Evantic Capital、NVIDIAなどが名を連ねます。顧客にはDeutsche Telekom、Revolut、Square、Meta、Salesforce、ウクライナ政府などのエンタープライズが含まれ、2025年末時点で年間経常収益(ARR)は3億3,000万ドルを突破しました。同社はヨーロッパ各地に加え、ブラジル、メキシコ、インド、韓国、日本、米国にも拠点を構え、IPOを視野に入れた国際展開を加速させています。

 

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