SpaceTechのAetherflux、軌道上データセンター計画「Galactic Brain」を発表　初号機の打ち上げ目標は2027年第1四半期

Aetherfluxは、人工知能の膨大な電力需要に応えるべく、宇宙空間の太陽光を活用する軌道上データセンター衛星プロジェクト「Galactic Brain」を発表し、その初号機の商用ノード打ち上げ目標を2027年第1四半期とすると公表しました。この構想は、地上データセンターの建設に通常5〜8年かかるとされるタイムラインを“バイパス”し、宇宙空間にコンピュートと電源を一体で配置することで、AIスケーリングのボトルネックとなっているエネルギー制約を抜本的に緩和しようとする試みです。

AIの大規模化において、最大の制約要因のひとつは「エネルギーへのアクセス」です。適切な土地の確保、送電網への接続、データセンター施設の建設といったインフラ整備には数年単位の時間がかかり、電源・コンピュートの拡張スピードがAI開発の足かせになりつつあります。AetherfluxのFounder兼CEOであり、RobinhoodのCo-founderでもあるBaiju Bhatt氏は、「汎用人工知能（AGI）に向けた競争の本質はコンピュート能力の競争であり、その延長線上にエネルギーの競争があります。現在のエネルギー計画の延長では、このスピードについていけません」と述べ、「Galactic Brainは“太陽光をシリコンの隣に置き”、送電網そのものをスキップする構想です」と説明しています。

Aetherfluxは、2027年第1四半期に商用利用を目的とした最初の軌道上データセンターノードの稼働を目指し、その後の衛星打ち上げによってノードのコンステレーション（衛星群）を構築し、コンピュート容量のスケールを図る計画です。このプロジェクトは、同社がすでに進めている「紛争地などのコンテスト環境に電力を送るための宇宙太陽光発電衛星」の開発を土台にしています。2026年には、低軌道から地上へレーザーによるワイヤレス送電を行う初の衛星打ち上げも予定しており、軌道上発電とデータセンター運用の両面で実証を進める構えです。

Aetherfluxについて
Aetherfluxは、「宇宙空間に構築するアメリカの送電網」を掲げるSpaceTechスタートアップで、第一弾の応用領域として軌道上でのAIコンピュートと、地上のコンテスト環境への電力供給をターゲットにしています。軌道上で太陽光を発電し、高度な宇宙システムとワイヤレス送電技術を組み合わせることで、AIの未来を加速させるとともに、地球およびその先の世界に「エネルギーの豊かさ」をもたらすことを目指しています。