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DeepTech半導体の設計のChipStack LLMが変える半導体設計と検証の未来
人工知能が急速に進化する中、その根幹を支えるのは「チップ」です。過去数十年にわたり、ムーアの法則に導かれ、計算性能あたりのコストや消費電力効率は飛躍的に向上しました。その成果が、大規模データを活用する大規模言語モデル(LLM)の登場を可能にし、AIの可能性を大きく広げています。現在、主要テック企業は次世代モデル開発に向け、独自の半導体設計に注力しており、カスタムシリコン開発はかつてないほど活発化しています。しかし、チップ設計は依然として莫大な労力を要します。特に、設計フローの中でも大きなボトルネックとなっているのが「機能検証」です。1980年代から2000年代にかけてEDAツールやHDLが普及し、論理合成や配置配線の効率化が進んだ一方、チップが巨大化・複雑化する中で、現在は開発工数の60〜70%が検証に費やされています。膨大なトランジスタ状態空間を前に、人力に頼る検証工程は限界に近づいています。
この課題に対し、LLMが新たな解決策をもたらしています。従来のAI応用が配置配線など限定的な領域での効率化に留まっていたのに対し、LLMは自然言語理解と推論能力を備えており、設計意図の把握、テスト項目の特定、コード生成、デバッグ、カバレッジ分析といった知的タスクを支援できます。ChipStackは、こうした能力を活用し、次世代の検証ツール群を開発しています。これにより、設計と検証の両面で新しい抽象化レベルが生まれ、自然言語を通じて設計意図を直接表現する未来像も描かれています。チップ設計は再び「Verilogの瞬間」に直面していると言われます。すなわち、新たな抽象化レイヤーが登場し、シリコンとソフトウェアの融合がこれまでにない形で進む可能性があります。今後はAIがチップを形作り、同時にチップがAIを進化させるという相互循環が、次世代の計算能力を加速させることになるでしょう。
ChipStackについて
ChipStackは、生成AIを活用してチップ設計と検証を抜本的に効率化することを目指すスタートアップです。共同創業者でCEOのKartik Hegde氏は、Arm、NVIDIA、Facebook AI Research、Allen Institute for AIなどで研究・開発に携わった経歴を持ち、計算効率の高いAIアルゴリズムや機械学習向け専用シリコン開発に貢献してきました。ChipStackは、複雑化する半導体開発のボトルネック解消を目指し、業界に新たな抽象化と革新をもたらしています。
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