次世代AIのAnthropic、CEOが「5年以内に新卒者向け職種の半数がAIに代替される」と警告

人気のAIチャットボット「Claude」を開発するAnthropicのCEO、Dario Amodei氏が、今後1〜5年以内にAIが新卒者や若手社員向けの職種の50%を代替する可能性があると指摘し、大きな波紋を呼んでいます。同氏は、AIの進化によって米国の失業率が現行の4.2％から10〜20％に急上昇する恐れがあると予測し、社会がまだこの危機を十分に認識していないと警告しました。

Amodei氏はAxiosとのインタビューで、「この技術を開発する立場として、私たちには将来起こることを正直に伝える義務があります。しかし、多くの人々の意識にはまだ浸透していません」と述べました。先週Anthropicが発表した最新の第4世代AIモデルは、プログラミング能力が大幅に向上しており、これまで人間が担当してきたエントリーレベルのソフトウェア開発の仕事の大部分を自動化できる可能性を示しています。同氏はさらにFox Newsの取材にも応じ、金融、コンサルティング、テクノロジー分野の職種もAIに置き換えられるとし、大学卒業生やキャリアチェンジを目指す中堅世代にも深刻な影響が及ぶと指摘しています。Amodei氏は、「AI研究に携わって10年になりますが、その進歩のスピードは驚異的です。2年前には高校生レベルだったAIが今や優秀な大学生レベルを超えつつあります」と述べました。

OpenAIのCEOであるSam Altman氏も、AIが将来的に仕事の70％を自動化する可能性があると米上院議員に警告したと報じられています。Altman氏は公式ブログでも、「社会と経済が根本的に変わる。新しい仕事が生まれるかもしれないが、それは現在の仕事とはまったく異なるものになるだろう」と述べています。米国政府は現在、AIの規制よりもその普及促進を重視しており、中国のAI覇権を抑えることを政策の中心に置いています。しかしAmodei氏は、この政策がAIによる大規模な失業問題を過小評価する理由にはならないとして、「政府や他のAI企業も事態を軽く見ている」と批判しました。自身もAIの普及で利益を得る立場であるAmodei氏ですが、「だからといって私が間違っているとは限りません」と述べています。AI業界が唱える終末的な予測を誇張だと懐疑的に見る向きに対して、「もし我々が正しければどうなるでしょうか？」と問いかけ、早急にAIの影響を正確に測定し、それをもとにした政策づくりが必要だと訴えています。

Anthropicについて
AnthropicはAI安全性の研究開発に特化した企業で、特に自然言語処理技術に強みを持っています。高度な推論能力を備えたチャットボット「Claude」を提供しており、社会的影響を踏まえた倫理的なAI開発を目指しています。