AIインフラのCeramic.ai、企業向けAIモデルの高速・低コストトレーニングを実現

AIモデルのトレーニングインフラを提供するCeramic.aiがステルスモードを終了し、企業が独自の生成AIモデルをより効率的に構築・チューニングできるプラットフォームを発表した。創業者は元GoogleのエンジニアリングVPでありGradient Venturesの創設者でもあるAnna Patterson氏。Ceramic.aiの技術はNVIDIAのサポートを受け、既存の最先端プラットフォームと比較して最大2.5倍のパフォーマンス向上を実現する。

世界のAI投資は2023年の160億ドルから2027年には1,430億ドルに急増すると予測されている。しかし、74%の企業はAIの本格導入やスケールアップに苦戦しており、その大きな要因となっているのが高コストかつ複雑なAIインフラの構築だ。大手テクノロジー企業は数十億ドルを投じて独自のAIインフラを構築しているが、多くの企業にはそのためのリソースがない。現在のAIインフラは10倍のスケールアップには対応できるが、100倍の成長には根本的な設計の見直しが必要だ。Ceramic.aiはこのギャップを埋めるため、スピードとスケーラビリティを兼ね備えた企業向けAIプラットフォームを提供し、AIモデルのトレーニングの複雑さとコストを大幅に削減する。同社のソフトウェアは、長いコンテキストを扱うモデルやあらゆる規模のクラスタに対応し、従来の方法よりも迅速なトレーニングを可能にする。小規模モデルではNVIDIA H100 GPU上で最大2.5倍の高速化を実現し、大規模な長コンテキストモデルでは他の選択肢を凌駕する唯一のソリューションとなっている。

Ceramic.aiは、企業向けAI開発の主要課題を解決するため、以下の技術を提供している。
• スピードと効率性の向上: オープンソースのAIスタックと比較して最大2.5倍の効率性を誇り、トレーニングコストを削減しながらモデルの性能を向上。
• 長コンテキストトレーニング: 70B（700億）パラメータ以上の大規模モデルにおいても高い効率性を維持し、業界最高水準の長コンテキストモデルトレーニングを実現。
• 高度な推論モデルの性能向上: MetaのLlama70B 3.3モデルの問題解決能力を向上させ、GSM8KのPass@1スコアを78%から92%へ改善。DeepSeek R1の84%を上回る結果を達成。
• データ処理の最適化: トレーニングデータを再編成し、64Kや128Kのコンテキスト単位で同じトピックのデータを整理。従来の方法では無視されていた関連データを有効活用することで、学習効率を飛躍的に向上。

Ceramic.aiはすでに大規模インフラの専門家チームによって開発が進められ、初期段階の導入企業においてコスト削減とトレーニング効率向上の成果を上げている。現在、LambdaやAWSなどと提携し、AIトレーニングのさらなる高速化を進めている。

急成長を支えるため、Ceramic.aiはNEA、IBM、Samsung Next、Earthshot Ventures、Alumni Venturesから総額1,200万ドルのシード資金を調達した。この資金により、製品開発を加速し、企業向けプラットフォームの拡大を進める予定だ。
NEAのAI戦略責任者であるLila Tretikov氏は、「AIの発展はロケットが馬車に繋がれているような状況でしたが、Ceramic.aiがそのボトルネックを打破しました。AIのトレーニングワークロードを100倍にスケールさせながらも、コストと複雑性を増やさずに済む技術を実現しました」と述べた。
また、IBMのグローバル・ベンチャーキャピタル責任者であるEmily Fontaine氏も、「Ceramic.aiへの投資は、IBMが戦略的領域でのイノベーションを推進し、強力なパートナーシップを構築する姿勢を示しています。AIの計算コストを削減し、トレーニングをより効率的で手頃なものにするという重要な課題に共に取り組むことを楽しみにしています」と語った。

Ceramic.aiについて
Ceramic.aiは、企業向けAIインフラを提供し、大規模言語モデル（LLM）のトレーニングと運用を最適化するテクノロジー企業である。同社のプラットフォームは、AIトレーニングのコスト削減とパフォーマンス向上を実現し、企業のAI導入を加速させる。NEA、IBM Ventures、Samsung Next、Earthshot Venturesなどの投資を受け、AIの発展に貢献している。