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BioTechのeGenesis、2人目の患者に遺伝子編集ブタ腎臓の移植を実施
eGenesisは、遺伝子編集されたブタの腎臓を2人目の末期腎疾患(ESKD)患者に移植することに成功したと発表した。この手術は、米国食品医薬品局(FDA)が承認した拡大アクセスプログラムの一環として、マサチューセッツ総合病院(MGH)移植センターの外科チームによって実施された。
今回移植を受けたのは、66歳のTim Andrews氏で、2年以上にわたり透析治療を受けていた。透析による負担は大きく、2023年7月には心臓発作を起こすなど、深刻な合併症にも直面していた。さらに、O型血液型であったため、ドナー腎臓の待機時間が通常よりも長くなり、移植を受けられる可能性は9%に過ぎなかった。一方で、病気の進行により5年以内に移植待機リストから外される確率は49%とされていた。
手術後、Andrews氏は2年以上ぶりに透析を必要とせず、新たな腎臓が正常に機能している。彼は「手術後に目覚めた瞬間、透析の苦しみが消え去ったようだった。まるで奇跡のように体が軽くなり、活力が戻った」と述べ、今回の移植が他の透析患者にとっても希望の光となることを願っている。
移植された腎臓EGEN-2784は、eGenesisが開発した遺伝子編集ブタ腎臓で、次の3つの主要な遺伝子改変を施している。
1. 免疫拒絶反応を防ぐための3つの糖鎖抗原の除去
2. 免疫応答の調整や炎症抑制を目的とした7つのヒト遺伝子の挿入
3. ブタ由来の内因性レトロウイルスの不活性化による安全性の向上
このような包括的な遺伝子改変により、ブタの腎臓がヒトの体内で長期間にわたって機能する可能性が高まる。
eGenesisのCEOであるMichael Curtis氏は、「この移植は単なる科学的進歩ではなく、臓器不足という世界的な課題を解決するための新たな一歩である」と述べた。さらに、MGH腎移植プログラムの医療ディレクターであるLeonardo V. Riella医師は、「3人の患者を対象とした今回の試験は、異種移植(xenotransplantation)の実用化に向けた重要な知見を提供する」と語っている。eGenesisは今後、腎臓移植にとどまらず、急性肝不全や心臓移植分野への応用も視野に入れており、遺伝子編集技術を用いた革新的な移植医療の発展に向けた取り組みを進めている。
eGenesisについて
eGenesisは、遺伝子編集技術を活用し、ヒトへの適合性を高めた移植用臓器を開発するバイオテクノロジー企業である。同社のプラットフォームは、異種移植における分子レベルの適合性を向上させるとともに、ウイルス感染リスクを低減することを目的としている。現在、腎移植のほか、急性肝不全や心臓移植に向けた研究開発も進めている。
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