Startup Portfolio
量子コンピューティングのClassiq、1億1000万ドルを調達「量子界のMicrosoft」を目指す
イスラエル・テルアビブを拠点とする量子ソフトウェアのスタートアップClassiq Technologiesは、最新の資金調達ラウンドで1億1000万ドルを調達しました。今回の調達はEntrée Capitalが主導し、Norwest、NightDragon、Hamilton Lane、Clal、Neva SGR、Phoenix、Team8、IN Venture、Wing、HSBC、Samsung Next、QBeatが参加しています。同社はこれまでに総額1億7300万ドルを調達しています。
2020年にNir Minerbi(CEO)、Yehuda Naveh(CTO)、Amir Naveh(CPO)の3名が共同で設立したClassiqは、主要な量子コンピューティングのハードウェアと互換性のあるソフトウェアプラットフォームを開発しています。このプラットフォームは、データ科学者や計算科学者、エンジニアが量子アルゴリズムを容易に設計・構築し、実世界における高度で複雑な問題を迅速に解決できるようにするものです。
Minerbi氏は、「私たちは『量子界のMicrosoft』を目指しています。MicrosoftがWindowsを通じてコンピューターを使いやすくし、数百万人が簡単にソフトウェアを構築できるようにしたように、量子コンピューティングの分野で、誰もが手軽に量子アプリケーションを開発できるソフトウェア基盤を提供します」と述べています。
量子コンピューティングは、古典的なコンピューターでは扱いきれない複雑な計算を高速に解決できる技術として注目されています。Classiqのプラットフォームは、専門的な知識を持たない企業でも量子回路の設計が簡単にできるよう設計されており、自動車産業、自動化、金融、製薬分野における薬剤開発など、多くの業界での活用が期待されています。調達した資金は、欧州・アジア・北米を中心に事業を拡大し、産業界、政府機関、学術機関向けに量子アプリケーション開発の標準的なプラットフォームとなることを目指すために活用されます。同社は現在65人の従業員を擁し、今後1年間で倍増させる計画です。
Classiqの顧客には、BMW、Rolls-Royce、Citi、Deloitte、Toshiba、HSBC、Sumitomoなど、各業界をリードする企業が含まれています。またMicrosoft Azure Quantum、AWS Braket、Nvidia、Google Quantum Cloudなど大手クラウド企業と提携しているほか、MIT(米国)、UCL(英国)といった名門大学の量子コンピューティング関連コースや研究にも導入されています。昨年Classiqは、イスラエル・イノベーション庁の支援で設立されたイスラエル初の量子コンピューティングセンター(IQCC)の一員にも選出されました。世界各国が量子技術開発に巨額の資金を投じるなか、イスラエルでも量子コンピューティング分野での競争力強化が加速しています。
Classiqについて
Classiq Technologiesは、イスラエルを拠点に2020年に設立された量子コンピューティングのソフトウェアスタートアップです。多様な量子ハードウェアに対応可能なソフトウェアプラットフォームを提供し、専門家以外でも容易に量子回路やアルゴリズムを開発できる環境を整備しています。BMWやHSBCなどグローバル企業を顧客に持ち、産業界・政府・教育機関と幅広く提携しています。
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