1. Home
  2. News
  3. レーザーを利用した宇宙と地上間の通信によりデータセンター同士を接続することを目指す"EON"がSeedで$10.75Mを調達
2026/08/06

Startup Portfolio

レーザーを利用した宇宙と地上間の通信によりデータセンター同士を接続することを目指す"EON"がSeedで$10.75Mを調達

Endeavor Optical Networks (EON)は、General CatalystとAndreessen HorowitzからSeedで$10.75Mを調達し、ステルス状態を解除しました。

2026年5月に設立されたレーザーを利用した宇宙と地上間の通信によりデータセンター同士を接続することを目指すEndeavor Optical Networks(EON)は、レーザーを搭載した宇宙船のネットワークを打ち上げ、軌道上からデータセンター同士を接続することを目指しています。

世界中でHyperscaler各社がデータセンターの構築を進める中、それらの間でデータをやり取りする必要があります。そして、その通信は多くの場合、海底を縦横に走る比較的脆弱な海底光ファイバーケーブル網に依存しています。

これらのケーブルは、敷設することはもちろん、アクセスや修理も容易ではありません。一方で代替手段を見つけることも簡単ではありません。無線通信は十分な帯域幅を確保できないため、地上や軌道上でのほとんどのワイヤレス方式は選択肢になりません。しかし現在では、レーザーがその役割を果たせる可能性があります。

現在の衛星通信ネットワークの多くは、ブロードバンドインターネットサービスを提供するものも含めて、海底光ファイバー並みの200Tbps以上のデータを伝送できるほど十分な性能を備えていません。

しかし、より高性能な衛星と光通信技術の進歩により、レーザーを利用した宇宙と地上間の通信は実現可能性が高まっています。NASAは最新の月探査ミッションでレーザー通信を利用してデータを地球へ送信しました。また、York、Kepler、Cailabsを含む複数の民間宇宙企業も、地球低軌道と地上との間でレーザー通信リンクの実証に成功しています。

ただし、これらの通信は2.5Gbps程度のスループットを目標としていました。一方でEONは、より大きな目標を掲げており、初期目標は2.4Tbpsのスループットです。その実現には、レーザー通信最大の課題の1つである、大気通過時の信号の歪み、特に雲による遮蔽への対策となる独自技術が必要になります。

EONは約20基の衛星からなるネットワークを構築する計画です。各衛星は2つの大陸間に専用通信リンクを提供でき、初期の衛星群だけでも初期顧客向けに24時間体制のサービスを提供できる見込みです。同社は地域ごとに最適な地上局を選定し、地域のデータセンターやCDNへ接続します。また、冗長化した拠点を活用し、気象データも利用することで、高い通信信頼性を確保する方針です。

同社はHyperscalerやAIラボを顧客候補として協議を進めています。これらの企業は世界で最も大量のデータを扱っているためです。特に、フランスからオーストラリアのような長距離ルートや、アフリカと南米間のように既存インフラが十分でないルート、あるいは通信コストが高いルートに注力します。また、データ転送を完全に管理したい顧客向けに専用帯域を販売する予定です。

まずEONは、このSeed資金を活用して光学研究施設を整備し、エンジニアを増員するとともに、2027年末頃に予定している実証衛星の打ち上げに向けた地上試験を実施します。この宇宙船がこれまでで最高となる光通信ダウンリンク性能を実現し、少なくとも800Gbps、おそらく1Tbpsに到達すると見込んでいます。

その実現には綿密なエンジニアリングが必要です。EONは光通信ターミナルの開発に注力し、レーザーの照準を合わせるジンバルなど、高精度が求められる部品へ重点的に投資します。一方で、衛星本体についてはApex Spaceなどが製造する高性能な既製品の衛星バスを採用する予定です。

EONの共同創業者兼CEOのCharlie Horowitzは、Apex SpaceでCEOのIan CinnamonのChief of Staffを務めた後、特別プロジェクト担当ディレクターを務めました。Cinnamonは「Charlieは並外れた人物です。戦略立案から、それを現実にするために必要な細部までシームレスに対応できます。Charlieは理想的な創業者であり、TylerとともにEONで取り組んでいることを強く信じているため、私は個人としても投資しました」と語りました。

EONの共同創業者兼CTOのTyler Presserは、NASAの最先端ミッションの計画に携わった宇宙工学博士です。また同社の技術チームには、世界規模のネットワークインフラを担当してきた元Google幹部のMichael David Francoisや、直近ではAmazonのLEO衛星ネットワークに携わっていた光学エンジニアのWesley Baxterも加わっています。

もちろん、この課題に取り組んでいるのはEONだけではありません。Jeff Bezosの宇宙企業Blue Originは、最大6Tbpsを大規模利用者へ提供することを目指す5,048基の衛星ネットワーク「TeraWave」の計画を発表しています。Blue Originの構想はより野心的ですが、打ち上げと展開にはさらに長い時間が必要になります。一方、EONはより小規模な衛星群であるため、比較的短期間で軌道投入できる可能性がありますが、多くの同じ技術的課題を解決する必要があります。

Quilty SpaceのResearch DirectorであるCaleb Henryは、「データセンターは品質と冗長性に非常に高い基準を求めます。衛星インターネットはようやく『最後の手段』という技術から、信頼性の高い高帯域インフラへ進化しつつあります。データセンター接続向けに最適化された衛星を実現することが不可能というわけではありませんが、多くの起業家が考える以上に難しく、時間もかかるでしょう」と指摘しています。

それでも、このようなプロジェクトは、データセンターそのものを宇宙に建設するという人気の構想よりも現実的かもしれません。

Horowitzは、「当社には1つのルールがあります。それは『物理法則の問題には挑まない』ということです。現在すでに存在する市場があり、私たちはそこにサービスを提供できます。将来的にはさらに多くの課題にも取り組みますが、まずは今存在し、しかも悪化し続けている問題を解決します。それが私たちの賭けです。地上で移動するデータ量はこれまで以上に増え続けています」と述べています。

 

TagsCommunicationIndustrialsDeepTech

関連ニュース

Contact

AT PARTNERSにご相談ください