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2026/03/16

Startup Portfolio

音声生成のElevenLabs、無料で100万人に音声復元を提供する「1 Million Voices Initiative」を開始

AI音声企業のElevenLabsは、SXSWにおいてRebecca Gayheart Daneと連携し、恒久的な音声喪失を抱える100万人に対して無料でAI音声復元を提供する「1 Million Voices Initiative」を発表しました。Rebecca Gayheart Daneは、2026年2月にALSとの闘病の末に亡くなった俳優Eric Daneの妻であり、ElevenLabsは生前のEric Daneの声をAIで複製・復元した実績を持っています。今回の取り組みは、その体験をより多くの人へ広げることを目的としたものです。SXSWのパネルでElevenLabsのCo-founderであるMati Staniszewskiは、このプログラムに参加する候補者を世界中で募っていると説明しました。がんや神経疾患などの医療上の理由で声を失った人々が対象であり、関係者はオンラインの関心登録フォームを通じて参加の意思を示すことができます。ElevenLabsは、Scott-Morgan Foundationのようなアクセシビリティ支援団体や障害者支援財団と連携しながら、対象者の発掘と支援体制の構築を進めています。

 

この技術の特徴は、留守番電話の音声や短い動画のような限られた音声サンプルからでも、本人の声を高い忠実度で再現できる点にあります。復元された声は、リアルタイムのコミュニケーションに利用でき、利用者は失われた自分の声で再び話すことが可能になります。これにより、単に会話手段を得るだけでなく、自分らしさや家族とのつながりを取り戻す支援にもつながります。Rebecca Gayheart Daneは、声は人のアイデンティティの極めて重要な一部であり、多くの人が普段はその価値を意識していないと述べています。Eric Daneの発話能力が徐々に損なわれていく中で、その喪失が喜びや自己認識に大きな影響を与えていく様子を見てきたと振り返りました。そして、ElevenLabsによって彼の声が戻った時、本人が感情を揺さぶられるほど大きな意味を感じていたことや、娘たちがこれからも父親の声を聞けると分かったことが家族にとって大きな支えになったと語っています。

 

AI技術は、ディープフェイク、誤情報、著作権侵害などをめぐって議論が続いており、2026年のSXSWでもそうした論点が取り上げられました。その一方で、Rebecca Gayheart Daneは、今回の事例はAIを善い目的のために使う最良の例だと強調しています。AIは危険な用途だけでなく、人を助け、尊厳を回復し、家族のつながりを守るためにも使えることを、より広く伝えていきたい考えを示しました。ElevenLabsは、この取り組みを広く知ってもらうため、SXSWでドキュメンタリーシリーズ「11 Voices」も公開しました。このシリーズでは、1 Million Voices Initiativeに参加する11人の音声喪失者の姿が描かれています。その一人である英国のALS患者Yvonne Johnsonもパネルに参加し、自身の音声喪失とAI音声復元の体験を共有しました。ElevenLabsは彼女のNorth Londonのアクセントまで含めて声を再現し、ドキュメンタリーでは夫との誓いの更新にその声が使われる様子も紹介されています。Yvonne Johnsonは、復元された声を使う仕組みについて、通常のテキストメッセージのように話したい内容を入力し、音声ボタンを押すだけで自分の声が流れると説明しました。そして、その技術が家族にとって非常に大きな贈り物になっていると語っています。失われた声を取り戻すことで、本人の自己表現だけでなく、家族との日常的なやり取りや感情の共有も再び可能になることが示されています。

 

今回の1 Million Voices Initiativeは、AI音声技術がエンターテインメントや業務効率化だけでなく、医療・福祉領域における深い社会的意義を持ち得ることを示す事例です。ElevenLabsは、音声喪失者が自分自身の声で再び世界とつながれる環境づくりを通じて、AIの活用可能性を新たな方向へ広げようとしています。

 

ElevenLabsについて
ElevenLabsは、音声生成、音声複製、音声復元などのAI音声技術を開発する企業です。高度な音声AIモデルを活用し、自然で高精度な音声合成を実現することで、メディア、クリエイティブ、アクセシビリティ、コミュニケーション支援など幅広い分野で活用されています。近年は、音声を失った人々が自分自身の声を取り戻すための音声復元技術にも注力しており、AIを社会的に有益な形で活用する取り組みを拡大しています。

 

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