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AIインフラのVAST Data、カナダの研究機関で採用拡大しGPU時代のHPCと主権クラウドを支えるAI OSに
AI向けオペレーティングシステムを掲げるVAST Dataは、カナダ国内での採用が加速していると発表しました。University of TorontoのSciNetとUniversity of WaterlooのSHARCNETが、データとAIの基盤としてVAST AI Operating System(AI OS)を採用し、カナダ拠点のインフラ事業者による大規模GPUサービスでの既存導入に続く動きになったとしています。国立級の学術計算拠点、著名なAI研究機関、クラウドインフラ提供者が、GPU時代のワークロードに追随できるスケーラブルで堅牢なデータ・AI基盤を、少人数運用でも扱える形で求めている点が共通していると説明しています。
SciNetはカナダの5つの国立学術HPC拠点の一つで、Trilliumスーパーコンピュータを擁し、第三世代システムとして約24万CPUコアと250基のGPUを運用しています。SciNetは従来型の構成を踏襲するのではなく、従来のHPCコードと新しいAIワークロードを並行して扱える基盤としてVAST AI OSに集約したとしています。SciNetのCTOであるDaniel Gruner氏は、従来は要求の厳しいI/Oに追随するために複数のストレージ階層を使い分けたり、バーストバッファを追加したりする必要があったが、VASTによりそうしたやりくりを減らし、HPCとAIの双方を同一基盤で支えられるようになったと述べています。
SHARCNETも国立ホスト拠点の一つで、University of Waterlooの新しいNibiクラスタのデータ基盤としてVAST AI OSを選定しました。Nibiは13.5万超のCPUコアと288基のGPUに加え、液浸冷却を備え、バイオインフォマティクスや物理学から経済学、人文学まで幅広い研究分野の利用を支えるとしています。SHARCNETのDirector of TechnologyであるJohn Morton氏は、数十億ファイル規模のバイオインフォマティクスデータセットからHPC入門の学生まで、多様なI/Oパターンを持つ利用者を支える中で、以前の環境では1つの問題ジョブがクラスタ全体に影響することがあったと述べています。そのうえで、VASTは「運用の前面に出てこない」形で膨大なファイルと負荷を吸収し、デバッグ対象として問題化しにくい点を評価しています。
VASTは、HPCとAIを単一基盤で統合し、複数階層ストレージやバーストバッファ、分散したデータベース・計算サービスの寄せ集め運用を避けられるとしています。Disaggregated Shared-Everything(DASE)アーキテクチャにより、小さなファイルが大量に存在する高IOPSやメタデータ負荷の高い処理でも安定した性能を提供し、CPUやGPUがI/O待ちではなく計算に集中できる状態を目指します。さらに、スナップショットやカタログ機能、レジリエンスの自動化により、少人数チームでも運用しやすい管理体験を提供するとしています。加えて、VAST DataSpaceによるグローバルネームスペースとマルチテナンシーで、機微データを扱う安全な共同研究環境を支え、将来的には研究拠点、国内インフラ事業者、パブリッククラウドをまたいだ複数拠点・複数クラウドのデータ基盤へ拡張できると説明しています。
VAST Data Canada Inc.のDirectorであるPezhman Sharifi氏は、カナダが国立研究センターから大規模GPU計算向けクラウド基盤まで戦略的にAI投資を進める中で、GPUと研究者にデータを途切れなく供給しつつ運用複雑性を増やさない「OS」が共通の要請になっていると述べ、VAST AI OSが学術研究から本番AIサービスまでを支える単一のグローバル基盤になると強調しています。
VAST Dataについて
VAST Dataは、AIの潜在力を最大化するために設計された統合ソフトウェア基盤としてVAST AI OSを提供するAIインフラ企業です。基盤となるデータおよび計算サービスと、エージェント型の実行基盤を単一のスケーラブルなプラットフォームに統合し、AIエージェントの展開と相互連携、リアルタイムデータ上での推論、複雑なワークフローの自動化をグローバル規模で実現することを目指します。中核技術であるDASEアーキテクチャにより、性能、スケール、シンプルさ、レジリエンスのトレードオフを減らし、推論型AIのためのグローバルなインフラファブリックを構築するとしています。
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