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FinTechのMelioを会計ソフト企業Xeroが25億ドルで買収し、米国市場への本格展開と会計×決済の統合を加速
ニュージーランドを拠点とする会計ソフト企業Xeroは、米国の決済ソリューションプロバイダーMelioを25億ドル(約3,900億円)で買収することで合意したと発表しました。この買収により、Xeroは自身の会計ソフトにMelioの決済機能を統合し、サービスの幅を拡大すると同時に、米国市場への成長戦略を大きく加速させることになります。Xeroは現在、売上全体の約7%を米国市場であげており、今回の買収はその存在感をさらに強化するものです。同社は中小企業(SME)とその会計事務所を支援し、キャッシュフローと財務管理を一体化したシンプルなプラットフォームで提供するというビジョンを掲げています。
今回の取引により、Xeroは2025年の売上規模を2028年までに倍増させる見通しを示しており、Xeroの会計機能とMelioの買掛金・売掛金ソリューションを融合させ、米国での事業スケールを共に目指す方針です。Xeroは、時価総額195億ドルの同社株式の取引を一時停止し、機関投資家から12.3億ドルの資金調達を要請。これはMelio買収資金の一部に充てられる予定です。
市場の反応は慎重ながらも好意的です。RBC Capital Marketsのアナリストは、米国市場における存在感を急成長中の決済企業を通じて高める戦略は長期的に見て合理的であると評価していますが、取引の複雑性とその実行には一定の時間を要すると指摘しています。一方、E&Pのアナリストは、買収価格自体はやや高めに見えるものの、戦略的な相乗効果——特に幅広い販路展開に成功すれば——価格に見合う価値を見出せるとしています。今回の買収は、Xeroが2025年5月に発表した他の提携戦略とも連動しています。たとえば、国際送金プラットフォームのEburyと提携して企業の国際業務拡張を支援したり、英国のAtoaと協力して「Instant Bank Pay」を活用した決済手数料の削減と入金の最適化を図る取り組みも進めています。
Melioについて
Melioは、中小企業のキャッシュフロー管理をサポートする企業間決済(B2B)プラットフォームです。企業が財務管理を効率化し、ビジネスの成長に集中できるよう、業務フローの自動化や支払いの合理化を支援しています。また金融機関やSaaSプロバイダー向けに埋め込み型のB2B決済ソリューションを提供し、財務チームや会計事務所に特化した管理・承認ツールも提供しています。
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