Startup Portfolio
人間アバターを生成する動画プラットフォームの"Synthesia"がSeries Dで$180Mを調達し、評価額は$2.1Bへ倍増
Synthesiaは、NEAがリードし、Atlassian Ventures、World Innovation Lab(WiL)、PSP Growth、既存投資家のGVやMMC Venturesも参加したSeries Dで$180Mを調達し、資金調達総額は$330Mに達しました。また、同社の評価額は2023年6月のKleiner PerkinsやAccelが参加した$90Mを調達したSeries Cの$1Bから2倍以上となる$2.1Mに拡大しました。
ロンドンを拠点とするAIを活用して多言語対応の人間アバターを生成する動画プラットフォームのSynthesiaは、高度にリアルなAIアバター技術を中心としたプロダクトを開発しており、企業の間で大きな人気を博しています。同社の技術を活用して、約60,000社(100万ユーザー)がテキスト文書からアバターを用いた動画を作成したり、営業やマーケティング、トレーニングなどに利用しています。
Synthesiaは、今回調達した資金を主に採用活動に充てる予定で、特にアジア太平洋地域での拡大を目指しています。現在、Synthesiaの事業の大半はヨーロッパと北米に集中しています。また、プロダクトの進化を継続的に進める予定です。
「私たちはすでに成功しているすべての取り組みに注力しています。アバターをより良いものにしたいのです。長期ロードマップには、よりリアルな動きの実現、アバターをさまざまな環境に移行させる能力、物理的なデモンストレーションを提供できるようオブジェクトと相互作用するアバター、さらにはユーザーと対話できるアバターなどが含まれています。また、自社の技術を活用して、顧客がアバターコンテンツをより簡単に作成できるよう支援する「エージェント」の開発にも取り組む予定です。」とSynthesiaの共同創業者兼CEOはインタビューで語りました。
M&A(合併・買収)に関しては、Synthesiaは現在のところこの分野を追求していません。これまでに同社は買収を行っておらず、同氏は自社の技術は社内で構築することを好むと述べています。ただし、自社で開発しない部分についてはAPIを活用しています。例えば、音声にはElevenLabsを使用し、大規模言語モデルについては自社開発ではなく、サードパーティのモデルを調整して活用しています。
Synthesiaは、今週英国政府が大規模なAI行動計画を発表した際に言及された企業の1つで、この計画では公共サービスや経済を再構築するためにAI企業に数十億ドルを投じる意向が示されました。
Synthesiaは現在、顧客企業が60,000社に増加しており、これは2023年6月時点の50,000社からの増加です。同社の目標は、エンタープライズが動画によるやり取りを構築するためのプラットフォームとして確固たる地位を築くことです。
高度なAI動画機能がますます一般的になっている中で、同社はこの目標を達成しようとしています。基本的な文書から完全なプロダクト動画を作成する技術を開発しているスタートアップもあれば、リアルタイムでやり取りできるアバターやリアルタイム動画アシスタントを開発している企業もあります。中には、1分間の動画だけでユーザーのリアルなアバターを作成できると主張する企業もあります。
Synthesiaもこのプロダクト競争から無縁ではありません。同社はプラットフォームの「2.0」バージョンを開発中で、個人アバター(ノートPCのカメラやスマートフォンで作成可能で、感情を表現できる)、画面データをもとに基本動画を作成するChrome拡張機能、文書を動画に変換する独自のAI動画アシスタント、多言語対応、複数人が同時に動画を編集できるコラボレーション機能など、関連する新機能をすでにリリースしています。
さらに注目すべき点として、同社がビジネスユーザーに特化していることが優位性をもたらしていることです。同社の投資家たちも、この点をスタートアップの魅力的な部分と評価しています。
今回のラウンドでAtlassianが投資している点も興味深いです。同社はさまざまなアプリにAI機能を注入しており、例えばJiraのようなプラットフォームがより多くの動画ツールを組み込む日も近いかもしれません。その際には、ポートフォリオ企業とのコラボレーションの扉が開かれるでしょう。
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