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量子技術のClassiqとWolfram、CERNのOpen Quantum Instituteに参加し、量子最適化でスマートグリッド開発へ
量子ソフトウェア開発の先駆的企業Classiqと、数理計算技術をリードするWolfram Researchは、CERN(欧州原子核研究機構)が主導するOpen Quantum Institute(OQI)に参加することを発表しました。OQIは世界的に量子コンピューティング技術へのアクセスを促進する取り組みで、両社は量子と古典的手法を融合させたハイブリッド型量子最適化技術を活用し、電力網の最適化問題に挑戦します。両社の共同研究は、電力網管理における重要な最適化課題である「ユニット・コミットメント問題(UCP)」の解決を目指しています。この問題は、複数の発電機を最適に運用し、コストを最小化しながら電力の安定供給を維持することを目的としたものです。しかし、再生可能エネルギーの統合が進み、電力網が複雑化するなか、従来の計算手法では対応が難しくなっています。
ClassiqとWolframは、量子コンピューティング技術を用いた最適化と数理モデルを融合させることで、こうした複雑な電力管理の意思決定を効率化・高精度化します。これにより、エネルギー業界が抱えるスケーラビリティの課題を解決し、現実の電力供給網で実用可能なソリューションを提供します。OQIは、Geneva Science and Diplomacy Anticipator(GESDA)が設立し、UBSが支援するCERN内の量子技術研究機関で、産学官の専門家が集まり、グローバルな課題への実用的な量子技術応用を加速しています。ClassiqのCEOであるNir Minerbi氏は、「Open Quantum Instituteへの参加は、業界レベルの課題を量子コンピューティングで解決するという私たちの使命を示すものです。OQIの協力的な環境で、エネルギーシステムにおける量子最適化技術の限界を押し広げていきます」と述べています。
また、Wolfram Researchの学術イノベーション責任者Mads Bahrami氏は、「今回の協力では、Classiqの量子ソフトウェア開発能力と、Wolframの数値・記号計算能力というそれぞれの強みを活かします。現代の複雑なエネルギーシステムに対して、量子コンピューティングを活用した新しいアプローチを構築することを楽しみにしています」と語りました。両社はOQIでの研究を通じて、エネルギー管理向けのスケーラブルな量子最適化モデルを開発するとともに、既存のエネルギーインフラと統合可能なハイブリッド量子ワークフローを構築します。また、古典的手法とのベンチマーク評価を実施し、量子技術による性能向上を検証します。この取り組みは、エネルギー効率化を推進し、環境への負荷軽減を目指すグローバルな持続可能開発の流れとも一致しています。
Classiqについて
Classiq Technologiesは、量子ソフトウェア開発のリーディング企業です。高度な統合開発環境(IDE)とコンパイラ、オペレーティングシステムを備えた量子プログラミングプラットフォームを提供しており、量子計算の深い知識がなくても高度な量子アプリケーションの開発を可能にします。独自のアルゴリズム型量子回路コンパイル技術を活用し、大規模な量子回路の迅速な合成を実現しています。HPE、HSBC、Samsung、NTTなどの著名企業から投資を受け、量子コンピューティング革命を最前線で推進しています。
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