医療GenAIのHippocratic AI、中東の大手医療グループBurjeel Holdingsと提携し、AIエージェントを導入

アブダビに本社を置く中東の医療大手、Burjeel Holdingsは、米国のスタートアップであるHippocratic AIと提携し、UAEおよびオマーンに展開する同社の病院やクリニック、ウェルネスセンターに、安全性を重視した生成AI（GenAI）エージェントを導入すると発表しました。患者との窓口業務をサポートするこれらのAIエージェントは、予約のスケジュール調整、診療後のフォローアップ、健康教育などを担当し、患者の待ち時間の削減とサービス体験の向上を目指します。この提携は、Abu Dhabi Global Healthcare Weekで公表されました。

Burjeel Holdingsは、UAE、オマーン、サウジアラビアで病院、医療施設、ウェルネスセンター、薬局などを含め、100を超える医療施設を展開する中東地域最大級の医療グループの一つです。今回の提携によるGenAIエージェントの導入は、湾岸協力会議（GCC）諸国の医療分野でこれまでにない大規模なものとなる可能性があります。同社は昨年、年間収益が前年比10.5%増加し、50億UAEディルハム（約13.6億米ドル）に達しました。年間650万人の患者に医療サービスを提供しています。

Hippocratic AIとの提携により導入されるAIエージェントは、診断以外の患者対応業務を担い、健康リスク評価、健康教育、スケジュール調整、フォローアップなどを多言語および文化的背景に配慮した対話形式で提供します。また、アラビア語とエミラティ方言でのローカライズにより、地域の文化的背景や多様性を反映したサービスを展開します。これらのAIエージェントは、腫瘍学、循環器学、神経学、整形外科など様々な診療科において、事務処理から患者対応まで幅広く活用され、患者との複雑かつ持続的な対話を通じて、共感性や安全性、コンプライアンスの高い基準を維持します。

この導入は、技術を活用しながら人間中心の医療サービスを維持するというBurjeel Holdingsの使命を支えるものです。Hippocratic AIは、ヘルスケア向けの安全性を最優先した大規模言語モデル（LLM）の開発に特化したGenAI企業で、ベンチャーキャピタルや医療機関から2億7,800万ドルの資金調達を受けており、すでに十数の医療グループで導入実績があります。これまで数十万件の患者との音声通話を完了しており、患者からの評価も平均8.7点（10点満点）と高い満足度を示しています。世界の医療業界では、医療需要の増大や人手不足が深刻化しています。生成AIは、医療従事者の業務負担を軽減し、予防医療の向上や患者理解の促進に大きな可能性を秘めています。一方で、医療現場では誤りに対して非常に厳しい許容基準が設けられており、正確で安全性が高いAIの開発が求められています。Hippocratic AIは、このような課題を解決することで医療機関でのGenAI普及を促進しています。

Hippocratic AIについて
Hippocratic AIは、医療業界向けに特化した安全性重視の生成AIを開発するスタートアップ企業です。医療機関の業務効率化や患者体験の改善を目的として、診断以外の患者対応を自動化し、すでに多くの医療施設で成果を上げています。